カメラを売る前のメモリーカード・データ消去チェックリスト Posted on 2026年10月31日 By tropiooo 「カードは抜いたし、フォーマットもした。これで準備は終わり」。 手放すボディを箱に詰める前、私もずっとそう考えていました。 こんにちは、「カメラとレンズの防湿庫だより」管理人の光森です。撮影歴は20年を超え、一眼レフからミラーレスへ移ったときには、ボディ2台とレンズ7本を棚卸しして半分を手放しました。 その移行から数か月たったころ、スマホのBluetoothの一覧に、売ったはずの一眼レフの名前が残っているのに気づきました。カメラ側を初期化しても、つながっていた相手の側には記録が残っていたわけです。慌てていまのボディのメニューを一つずつ開いてみると、カードの写真のほかにも、自宅のWi-Fiの設定や撮影者としての自分の名前、クラウドとの連携情報まで記録されていました。 査定でどこを見られるかはカメラの買取査定はここを見られる。センサー・シャッター回数・カビにまとめました。今回は、その記事では箇条書きで軽く触れただけの「データと設定の後始末」を、キヤノン・ニコン・ソニーの取扱説明書を読み込んで手順に落とします。最後に、上から順に確かめれば済むチェックリストも載せています。 目次1 メモリーカードの「削除」と「フォーマット」は、目次を消すだけ2 カメラ本体に残る個人情報と、消し方3 スマホとクラウド、製品登録はカメラの外で外す4 売る前に上から順に確かめるチェックリスト5 まとめ メモリーカードの「削除」と「フォーマット」は、目次を消すだけ 削除とフォーマットの違い カメラの「削除」は選んだ画像を消す操作で、プロテクト(保護)をかけた画像は消えずに残ります。一方の「フォーマット(初期化)」はカードの中身をまとめて消す操作で、プロテクトをかけた画像も対象になります。 ただし、どちらもカードの中の「目次」を書き換えているにすぎません。本の目次を破り捨てても本文がそのまま残るように、写真のデータそのものはカードの中に残っています。SDアソシエーションのSDメモリカードフォーマッターのよくあるご質問でも、クイックフォーマットはファイルのエントリーを削除するものの、ファイルに書き込まれたデータは削除しないと説明されています。 これは理屈だけの話ではありません。イギリスのハートフォードシャー大学は、中古で売られていたSDカードとmicroSDカード100枚を調べた結果を2018年に公表しています。そのうち36枚はまったく消されておらず、29枚はフォーマット済みに見えても、わずかな手間でデータを復元できました。フォーマットしたカードを「空っぽ」だと思い込んでいたのは、私だけではなかったわけです。 物理フォーマットの有無は、機種とカードで違う カード全体を時間をかけて初期化する機能を持つカメラもあります。キヤノンのEOS R6 Mark IIは、「カード初期化」の画面で「物理フォーマット」にチェックを入れてから実行します。ソニーのα7 IVは、「フォーマット」の画面で削除ボタンを押すと「フルフォーマット」に切り換わります。ニコンのZ6IIIにも物理フォーマットがあり、対応するCFexpressカードなら全データが完全に消去されると説明書に書かれていますが、SDカードについてはその記載がありません。 一方で、キヤノンのEOS R6 Mark IIの取扱説明書「カード初期化」には、カード内のデータは初期化や削除では完全には消去されないと書かれ、廃棄するときはカードを破壊するよう勧めています。カメラでどこまで消せるかは機種とカードの組み合わせ次第で、メーカーの説明も一律ではありません。 カードは原則として一緒に売らない ここからは私の判断基準です。メモリーカードは、ボディと一緒に売りません。 理由は、きちんと消えたかを自分で確かめる手段がないからです。ソニーも、カメラやパソコンでのフォーマットや削除ではデータが完全に消えないことがあるとして、カードを譲るならパソコンのデータ消去専用ソフトを、捨てるならカード本体の物理的な破壊を勧めています。規格さえ合えば新しいボディでも同じカードを使い回せるので、手元に残すほうが話は早い。使い回すときは、新しいボディで一度フォーマットしてから撮り始めます。キヤノンもソニーも、ほかの機器で使ったカードや初めて入れるカードは、そのカメラで初期化してから使うよう勧めています。 どうしてもSDカードを譲るなら、SDアソシエーションが無償で配布している「SDメモリカードフォーマッター」で「上書きフォーマット」をかけてください。ユーザー領域全体を上書きする方式なので、クイックフォーマットより時間はかかりますが、データの中身まで消せます。寿命を迎えたカードを捨てるときは、物理的に壊して読めない状態にしてから処分します。 カメラ本体に残る個人情報と、消し方 カードを抜いても、本体には自分の情報がいくつも残っています。主な項目と、3社の代表的な機種でのメニュー名を並べました。 消したい情報キヤノン(EOS R6 Mark II)ニコン(Z6III)ソニー(α7 IV)撮影者名・著作権者名著作権情報の消去著作権情報で名前を空欄にし、添付をOFF著作権情報で名前を空欄にするWi-Fi・Bluetoothの設定通信の設定初期化カメラの初期化ネットワーク設定リセットクラウドとの連携image.canonのカメラ連携設定解除Nikon Imaging Cloudの連携解除クラウド情報でアカウント情報を削除本体の設定全体カメラの初期化カメラの初期化設定リセットの「初期化」 同じキヤノンでも、EOS R5 Mark IIの「カメラの初期化」には「工場出荷時初期化」という別の名前の項目が並んでいます。メニューの名前や項目の有無は機種によって違うので、お使いの機種の取扱説明書で確かめてから操作してください。 著作権情報は、名前を空欄にしてから初期化する 著作権情報に名前を入れていると、撮った写真のExif(撮影情報)にその名前が書き込まれます。そのまま売れば、次の持ち主が撮る写真に私の名前が記録され続けることになります。ニコンもソニーも、カメラを譲るときは撮影者名と著作権者名を空欄にするよう説明書で求めています。 ニコンのZ6IIIは「カメラの初期化」で著作権情報も初期化されると明記していますが、すべての機種の説明書にそう書かれているわけではありません。私は名前の欄を手で空にしてから、最後に初期化をかける順番にしています。 Wi-Fiは「撮影設定だけのリセット」では消えない 自宅のWi-Fiにつないで写真を転送していたなら、その接続設定はカメラに登録されたままです。FTPで納品やバックアップをしていた方は、サーバーへのログイン設定も入っています。 ここで見落としやすいのが、リセットの種類です。ソニーのα7 IVの「設定リセット」には「撮影設定リセット」と「初期化」の2つがあり、前者を選んでもネットワーク設定は残ります。撮影設定が初期値に戻った画面を見て、全部消えたと早合点しやすいところです。 ソニーはヘルプガイドの個人情報保護に関するご注意で、譲渡や廃棄の前に「初期化」を行うよう案内しています。初期化すると、アクセスポイントの情報やFTPサーバーの設定、クラウドの接続情報、顔の登録までまとめて消えます。キヤノンの「通信の設定初期化」も、譲渡したときに無線通信の設定が流出するのを防ぐための機能だと説明書に書かれています。 顔の登録やGPSのログ、内蔵メモリーも見落としやすい 特定の人物を登録してピントを優先させる機能を使っていたなら、その顔の情報もカメラの中にあります。キヤノンのEOS R5 Mark IIの説明書は、登録した顔の画像や情報はカメラに記録されるので、譲渡や廃棄のときはすべて削除するよう求めています。ソニーは、この顔の情報を「生体情報」と位置づけています。 GPSを内蔵した一眼レフの中には、キヤノンのEOS 5D Mark IVのように、移動した経路のログを本体の内蔵メモリーに残す機種もあります。写真そのものを本体に記録できるカメラもあり、リコーのGR IVは約53GBの内蔵メモリーを持っています。カードを抜いた状態で再生ボタンを押し、画像が出てこないかを確かめてください。GPSのログの消し方は、説明書の位置情報の項目で確かめておきます。 スマホとクラウド、製品登録はカメラの外で外す スマホ側のペアリングは、カメラを初期化しても残る 冒頭で書いた私の失敗がこれです。キヤノンは、カメラの無線設定を初期化したら、スマホのBluetooth設定やWi-Fi設定の画面でもカメラの登録を消すよう、機種ごとの説明書で案内しています。ソニーの説明書にも、カメラを初期化したあとはスマホとアプリの側に残ったペアリング情報を消してから、つなぎ直す手順が載っています。カメラとスマホは、お互いに相手の情報を覚えている関係だからです。 連携アプリの名前は、キヤノンならCamera Connect、ニコンならSnapBridge、ソニーならCreators’ Appとメーカーごとに違います。どのアプリでも、中に残ったカメラの登録まで一緒に消しておきましょう。 クラウドは、カメラ側とサービス側の両方で切る 撮った写真をクラウドへ自動で送る設定にしていた方は、もう一段の作業があります。ニコンはZ6IIIの活用ガイド「Nikon Imaging Cloudについて」で、譲渡の手順をはっきり示しています。Nikon Imaging Cloudのホーム画面でカメラの情報を削除し、そのうえでカメラを初期化する、という2段構えです。 ソニーもCreators’ Cloudについて、カメラ側とクラウド側の両方で連携を解除するよう求めています。設定が残ったままだと、カメラの中身が意図しない相手のクラウドにアップロードされるおそれがある、というのがその理由です。カメラだけをきれいにしても、クラウドの側にはカメラの登録が残ります。 メーカーの製品登録は、売買が済んでから外す メーカーのサイトで製品登録をしていた場合は、登録の一覧からも外しておきます。キヤノンはCanon IDの「ご登録製品の確認と変更」から「登録解除」、ニコンは登録製品の一覧にある削除ボタン、ソニーはMy Sonyの「登録製品の一覧」から削除できます。 ただし、外すのは売買が成立してからです。ソニーのMy Sonyでは登録を消すと購入情報も一緒に消えるため、まだ製品を持っているうちは解除しないよう案内されています。 売る前に上から順に確かめるチェックリスト ここまでの作業を、私が実際に進める順番で並べます。 写真と動画をパソコンなどへ移し、ファイルが開けることを確かめた クラウドとの連携を、カメラ側とサービス側の両方で解除した 著作権情報の名前を空欄にし、書き込みの設定があればオフにした 顔の登録、GPSのログ、内蔵メモリーの画像を消した(該当する機種のみ) 本体を初期化し、Wi-Fiの接続先が残っていないことを確かめた 連携アプリとスマホのBluetooth一覧からカメラを削除した すべてのカードスロットが空であることを確かめた 元箱に貼った配送伝票など、紙に残った個人情報も外した 売買が成立したら、メーカーの製品登録を外した 初期化を半ばに置いているのは、クラウドの連携解除のようにカメラのメニューを使う作業を先に済ませるためです。同じシリーズのボディに買い替えるなら、初期化の前に設定を保存しておくと移行が楽になります。ニコンのZ6IIIの説明書も、初期化の前に「メニュー設定の保存と読み込み」で設定データを保存しておくよう勧めています。 カードスロットは、2つある機種ほど2枚目を抜き忘れます。EOS R6 Mark IIならカード1とカード2、Z6IIIならCFexpress/XQDスロットとSDスロットというように、スロットの数だけ蓋を開けて確かめてください。 初期化のあとはもう一度メニューを開き、著作権情報とWi-Fiの接続先が空になっていることを自分の目で確かめます。ここまでやれば、カメラはほぼ買ったときの状態に戻ります。 まとめ カメラを売る前に消しておくデータと設定を、メーカーの取扱説明書をもとに整理しました。 「削除」も「フォーマット」も目次を消すだけで、データの本体はカードに残る 物理フォーマットやフルフォーマットの有無は機種とカードで違い、通常の初期化では完全には消えない カードはボディと一緒に売らず、使い回すか、壊してから捨てる 著作権情報、Wi-Fiの設定、顔の登録は、初期化の種類まで確かめて消す スマホのペアリング、クラウドの連携、製品登録はカメラの外にあるので、別に外す チェックリストの最後の行に印が付けば、手放すボディに自分の痕跡はほとんど残りません。これで、安心して次の持ち主に送り出せます。防湿庫の扉を開けて、手放すと決めたボディのメニューを、今夜のうちに一度開いてみてください。 買取・査定のコツ
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