オールドレンズブームの現在。人気マウントと相場 Posted on 2026年10月9日2026年10月9日 By tropiooo 「オールドレンズって、もうブームは終わったんじゃないの?」。 撮影仲間との飲み会で、最近よくこの話になります。 こんにちは、「カメラとレンズの防湿庫だより」管理人の光森です。撮影歴は20年を超え、ここ数年はフィルム時代のレンズをミラーレスに付けて遊ぶのが週末の楽しみになっています。防湿庫の上段には、M42のタクマーとロシアのヘリオスが並んでいます。 結論から書くと、ブームは終わっていません。ただ、何を買っても楽しかった熱狂の時期は過ぎて、人気の銘柄と状態の良い個体にだけ値段が付く「選別」の時期に入りました。 この記事では、2026年のオールドレンズ市場で何が起きているのかを統計から読み解き、人気マウントの特徴と、代表的なレンズの相場を2026年10月時点の数字で整理します。最後に、オールドレンズを買い足す資金をどう作るかという話にも触れます。 目次1 2026年のオールドレンズは「熱狂」から「選別」の段階へ2 人気マウントの特徴と、ミラーレスへの付けやすさ3 代表的なオールドレンズの相場(2026年10月時点)4 オールドレンズの資金は、防湿庫の中にある5 まとめ 2026年のオールドレンズは「熱狂」から「選別」の段階へ オールドレンズが再び注目されたきっかけは、ミラーレスカメラの普及です。ミラーのないボディはレンズを付ける面からセンサーまでの距離(フランジバック)が短いので、その差をマウントアダプターで埋めれば、フィルム時代の一眼レフ用レンズがほぼそのまま付きます。では、2026年の今もその流れが続いているのか。数字で確かめてみます。 新品レンズの値上がりが、古いレンズに目を向けさせた カメラ映像機器工業会(CIPA)の交換レンズの出荷統計を見ると、レンズ交換式カメラ用レンズの出荷数は2012年の約3,037万本がピークで、2025年は約1,060万本と3分の1近くまで減りました。その一方で、1本あたりの平均単価は2015年の2.07万円から2025年には4.87万円へと、10年で2倍を超えています。フルサイズ以上のレンズに限ると、2025年の平均単価は8.14万円です。 新品のレンズが「気軽に1本買い足せる値段」ではなくなったので、1万円前後で手に入る古いレンズに目を向ける人が増えたわけです。私も新品の大口径単焦点に手が出せず、代わりにヘリオスを買った一人です。 中古レンズ全体の相場も上がっている カメラ専門フリマの「みんなのカメラ」が2026年8月に公開した中古レンズ価格指数では、2026年1月を100とした指数が6月には110.5になりました。半年で10.5%の上昇で、同じ期間のカメラ本体(103.1)より上がり幅が大きい。発売年で分けると、2016年以前に発売されたレンズの平均上昇率が19.5%と最も高くなっています。 この指数の対象は現行のAFレンズで、オールドレンズの統計ではありません。それでも「古めの中古レンズほど値上がりしている」という傾向は、店頭で私が感じている肌感覚と一致します。 値段が上がるのは銘玉と美品、普及玉は今も手頃 とはいえ、すべてのオールドレンズが値上がりしたわけではありません。2026年10月9日時点のネットオークションの落札相場を見ると、同じM42のタクマーでも、Super-Takumar 55mm F1.8は平均約3,400円なのに対して、50mm F1.4は約1.1万円と3倍以上の開きがあります。コンタックスのPlanar 50mm F1.4に至っては、前期型のAEJが約2.2万円、後期型のMMJが約3.7万円です。 数が多く出回った普及型のレンズは、今も数千円で手に入ります。値段が上がっているのは、語られる理由を持った一部の銘玉と、状態の良い個体です。「選別の時期」と書いたのは、この二極化のことです。 人気マウントの特徴と、ミラーレスへの付けやすさ オールドレンズはマウントの種類で付けやすさが変わります。ミラーレス側のフランジバックはニコンZが16mm、ソニーEが18mm、キヤノンRFが20mmなので、レンズ側の数値がこれより長ければ、アダプターを挟むだけでたいてい装着できます。 マウントフランジバック代表的なレンズひとことM4245.46mmSuper-Takumar、Helios-44入門の定番。アダプターが安いニコンF46.5mmAi Nikkor 50mm F1.4本数が多く状態の良い個体を探しやすいコンタックス/ヤシカ45.5mmPlanar 50mm F1.4ツァイスの描写を比較的手頃に試せるキヤノンFD42.0mmNew FD 50mm F1.4EOS一眼レフより短く、ミラーレス向きライカM27.8mmSummicron 50mm F2高価。ミラーレスでも周辺に注意 FD以外の数値は一般に広く使われている値で、キヤノンFDの42mmはキヤノンカメラミュージアムのF-1の解説に明記されています。 M42は入門の定番。絞りピンの扱いだけ注意 M42はねじ込み式のマウントで、ペンタックスをはじめ多くのメーカーが採用したため、流通量が群を抜いて多い。アダプターも数千円で手に入るので、最初の1本にはM42を勧めています。 1つだけ気をつけたいのが、レンズ後端にある絞り込みピンです。タクマーの多くはこのピンが押されたときだけ絞りが閉じる仕組みで、そのまま付けると、絞りリングを回しても開放のまま写ります。レンズ側に「AUTO/MANUAL」の切り替えがあればMANUALに、なければピンを押し込む板が付いたアダプターを選んでください。 ニコンF・コンタックス/ヤシカ・キヤノンFDは一眼レフ純正の名玉 この3つは、各社が自社の一眼レフ用に作り込んだ純正レンズの系統です。ニコンFは1959年から続くマウントなので本数が多く、状態の良い個体を選びやすい。コンタックス/ヤシカは、ヤシカとカール・ツァイスの提携から生まれた系統で、プラナーやゾナーといったツァイスの名前を持つレンズがそろいます。 キヤノンFDはフランジバックが42mmで、EOSの一眼レフ(44mm)より短い。そのため補正レンズの入らないアダプターでは一眼レフのEOSで無限遠にピントが合わず、ミラーレスで使うのが前提になります。 ライカM・L39は、短いフランジバックゆえの注意点 ライカのレンズはフランジバックが28mm前後と短く、ミラーレスとの距離の差が小さいので、アダプターは薄くなります。ただ、レンジファインダー用の広角レンズは後玉がセンサーに近い設計が多く、デジタルでは画面の周辺が色づいたり流れたりすることがあります。高価な買い物になるので、自分のボディで試写してから決めることを勧めます。 アダプターで付けたら、カメラ側の設定を2つ変える オールドレンズには電子接点がないので、カメラはレンズが付いていることすら認識できません。初めて付けたときに「シャッターが切れない」と慌てる人が多いのは、これが原因です。 ソニーのα7 IIIなら、メニューの「レンズなしレリーズ」を「許可」にすればシャッターが切れるようになります。ボディ内手ブレ補正も、レンズから焦点距離を受け取れないと正しく働かないので、「手ブレ補正調整」をマニュアルにして、使うレンズの焦点距離を手で入力しておきます。ニコンのZ 30などにも、非CPUレンズの焦点距離と開放絞り値を登録する「レンズ情報手動設定」があります。私はレンズを付け替えるたびに、この数字を変えるのが癖になりました。 代表的なオールドレンズの相場(2026年10月時点) 主要なレンズの相場を、オークファンの直近30日の平均落札価格(2026年10月9日確認)で並べました。 レンズマウント平均落札価格Super-Takumar 55mm F1.8M42約3,400円OM Zuiko 50mm F1.4オリンパスOM約9,000円Helios-44-2 58mm F2M42約1.1万円Super-Takumar 50mm F1.4M42約1.1万円New FD 50mm F1.4キヤノンFD約1.1万円Ai-s Nikkor 50mm F1.4ニコンF約2.1万円Planar 50mm F1.4(MMJ)コンタックス/ヤシカ約3.7万円MC ROKKOR-PG 58mm F1.2ミノルタMC約3.3万円 キーワードに部分一致した出品の平均なので、ジャンク品やボディとのセットも混ざっています。「このくらいの価格帯で動いている」という目安として見てください。 実家のレンズの値段を調べるには 親の遺したカメラバッグから古いレンズが出てきた、という相談もよく受けます。その場合は、まずレンズ前面の銘板リングか鏡筒の側面を見てください。「Super-Takumar 1:1.4/50」のように、レンズ名と開放F値、焦点距離が刻まれています。 この3つをそのまま検索語にして、オークションの「落札済み」の結果を見れば、おおよその相場はつかめます。出品中の価格は売り手の希望額にすぎないので、実際に売れた値段だけを見るのがコツです。同じSuper-Takumarでも、50mm F1.4と55mm F1.8で値段が3倍違うことは先ほどの表のとおりです。 「売値」と「買値」は別の数字 ここで、手放す側の方に知っておいてほしいことがあります。店頭の販売価格と買取価格は、まったく別の数字です。 価格.comの中古価格比較(2026年10月9日確認)では、Ai Nikkor 50mm F1.4Sの中古販売価格が約2.0万〜3.8万円だったのに対し、買取価格の最高値は1.3万円でした。店が検品やクリーニングをして保証を付けて売る以上、この差がなくなることはありません。「ネットで3万円で売っていたから、3万円で売れるはず」と考えると、査定額を見てがっかりすることになります。 相場を動かすのはカビ・クモリと黄変 同じ銘柄でも、値段を分けるのはガラスの状態です。 カビ・クモリがある個体は、値段が大きく下がる 貼り合わせ面が剥がれるバルサム切れは、修理自体が難しい 絞り羽根に油がにじんでいると、動作不良として扱われやすい 前後キャップやフードが揃っている個体は、評価が上がる オールドレンズ特有の話として、トリウムを含むガラスを使った、いわゆるアトムレンズの「黄変」もあります。SMCタクマー50mm F1.4などが知られていて、経年でガラスが黄色く色づき、写真も黄色みを帯びます。私の防湿庫にあるタクマーも、白い紙の上に置くと黄ばみがはっきり分かります。この色を「味」として好む人もいますが、売るときは状態の一つとして見られます。 オールドレンズの資金は、防湿庫の中にある ここまで相場を見てきて、私が一番伝えたいのはここからです。 オールドレンズは1本1万円前後のものが多く、つい2本、3本と増えていきます。その資金は、防湿庫で眠っている現行のAFレンズや、買い替えで使わなくなったボディから作るのが一番健全だと考えています。先ほどのみんなのカメラの指数のとおり、中古レンズの相場は今のところ上がっています。使っていない機材を売るなら、相場が上向いている今のうちです。 売る前に目安の金額を知りたい方には、型番買取.jpが便利です。カメラ本体やレンズの型番を入力するだけで買取価格の目安が分かり、会員登録もいりません。掲載されているのはミラーレスや一眼レフ、現行の交換レンズが中心なので、オールドレンズの資金にする機材の値段を調べる用途にちょうど合います。価格は美品・良品・訳ありなど状態別に表示され、型番が分からないときはLINEで写真を送って相談することもできます。 私も、防湿庫で2年眠っていたAF望遠ズームを手放して、MMJのプラナーを迎えました。使わない1本を、毎週末持ち出す1本に替えたわけです。 まとめ 2026年のオールドレンズ市場を、統計と相場から整理してきました。 ブームは終わっておらず、人気の銘玉と美品にだけ値段が付く「選別」の時期に入った 新品レンズの平均単価は10年で2倍を超え、中古レンズの相場も2026年上半期に10.5%上がった M42は入門向き、ニコンF・コンタックス/ヤシカ・キヤノンFDは純正の名玉、ライカは高価で周辺に注意 普及型は数千円、銘玉は数万円と、同じマウントでも相場には大きな差がある 販売価格と買取価格は別の数字で、売るときはカビ・クモリと黄変が値段を左右する まずは防湿庫の扉を開けて、この1年触っていない機材を数えてみてください。その1本を手放せば、気になっていたオールドレンズに手が届くかもしれません。 中古市場・相場